預貯金によるインフレのリスクヘッジは不可能

日本における不景気の継続と物価上昇のスタグフレーションという状態。
この予想が実際に発生し、深刻な状況となった場合、日本国内での金利は上がるのでしょうか。
金利が上昇しない場合、インフレのリスクが高くなります。

金利が物価上昇率を上回っていれば問題ないが……

世の中には、預貯金さえしていれば、インフレのリスクを避ける事は十分可能だ

という意見もあります。
しかし、これは事実でしょうか?

今後の物価上昇率を考慮して、お金の価値が下がらないように金利が決められるのは事実です。
この事から、物価上昇率と比較して、やや高い水準で金利が設定されています。
そういった意味では、預貯金によるインフレのリスク回避は十分可能であるという意見は、誤った見解ではありません。

ところが、大規模なパラダイム転換の中で、この点も一括りにできなくなっています。
「日本が好景気で、物価上昇が見込まれる」というインフレであれば、日本での金利引き上げによって、過熱しつつある景気に歯止めをかけながら物価安定を図る方法も可能です。

それでは、次のようなケースはどうなるのでしょうか。

日本は深刻な不景気に陥っています。
一方、中国やインドといった新興国では、根強いエネルギー需要により原油価格が上昇し続けており、物価の水準も上昇しています。

国内の金利引き上げだけで、このようなインフレに対処できるのでしょうか。

これは、2008年7月に発生した実例です。

当時、金融不安をきっかけに世界中を巻き込んだ不景気の影響により、日本でも不景気が進行しつつありました。
ところが、2008年7月に原油の価格が急激に上昇し、原油の代表的存在であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)は、1バレルあたり147ドルまで跳ね上がったのです。

原油の価格が上昇を続ける中で、日本ではさまざまな種類の物価が上昇しました。
2008年7月・8月時点での消費者物価指数は、前年同月と比較して2.4%増となりました。
要するに、物価は1年間で2.4%も上昇したという事です。

物価上昇に対して金利が追いつけない

それでは、2007年7月の1年物定期預金の利率は、どれほどのものだったのでしょうか。
それぞれの銀行によってわずかに差はあるものの、およそ0.3%ほどです。
つまり、2007年7月に手持ちの資産をスーパー定期に預金して1年間運用したとすると、金利が物価の上昇を下回っているのです。

1年間の物価上昇率は2.4%であるにも関わらず、1年物スーパー定期での運用による利息が0.3%という事は、資産の価値が2.1%も減少した事になります。
日本の金利は、経済状態と物価上昇の中で、今後も引き上げたくても不可能であるという厳しい状況に陥る危険性を伴っています。

その反面、中国やインドといった新興国は、さらなる経済発展が期待できます。
2008年の時点で、中国が世界第1位となる約13億5000万人、インドが第2位となる約12億人もの人□を擁しています。
この2ヶ国が経済の発展を目指して活動を始めたとなると、至るところで資源・エネルギー・食糧など深刻な物不足となります。

これは、2008年7月に発生した原油価格高騰と同じです。
世界的なインフレの高まりは、確実なものになるでしょう。

今後の日本は、金利上昇を狙っても不可能という状況に陥る可能性がある

現在の日本は、少子高齢化や人□減少によって経済が低迷しており、経済成長率も微小なものです。
この状況では、金利の上昇など不可能です。
仮に大幅な金利引き上げを行えば、日本の景気はあっという間に落ち込んでしまうでしょう。

外部的要因によるインフレの懸念が高くなったとしても、日本の景気を考慮する

と、金利引き上げをためらってしまう状態に陥る可能性があります。
金利の上昇なくして、預貯金の利率上昇はあり得ません。
結果として、預貯金によるインフレのリスクを避ける事は不可能であるという現実を突き付けられます。

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